
本物か、それとも偽物か。
目の前に並ぶ二皿を見比べても、見た目だけでは違いは分かりません。頼れるのは、自分の舌だけです。
その勝負の舞台となったのは、巨大な水槽に囲まれた幻想的なアクアリウムレストラン。銀座のホステスとともに席へ着いた鉢嶺は、高級食材を見極める「格付けチェック」に挑戦しました。
先日のゴチバトルで味わった悔しさを胸に、今度こそ”本物を見抜く力”を証明するための一夜が始まります。
目次
- きっかけは、ゴチバトルの雪辱
- 上野 アクアリウムレストラン Nautilus──潜水艦で味わう非日常
- 今夜のコースは「格付けチェック」仕立て
- いざ、判定──舌に自信はあるのか
- 結果──まさかの全問正解
- 食後の七夕──短冊に願いを
- まとめ
きっかけは、ゴチバトルの雪辱
きっかけは、先日参加したラファエル主催の「ゴチバトル」でした。
銀座で約20年、美食に触れてきた経験を武器に挑んだものの、結果は3位。決して悪い順位ではありませんでしたが、「もう少しできたはず」という思いだけが心に残っていました。
価格を読む勝負と、本物を見極める勝負はまったく別物です。それでも、「食に関してはそう簡単には外さない」という自負を改めて確かめてみたいという気持ちは消えませんでした。
そこで鉢嶺は、知り合いの銀座のホステスを誘い、あるレストランへ向かいます。舌だけが頼りとなる、少し変わったディナー。その舞台は、まさに今回の挑戦にふさわしい場所でした。
上野 アクアリウムレストラン Nautilus──潜水艦で味わう非日常

今回訪れたのは、上野にある「アクアリウムレストラン Nautilus」です。
実在した伝説の潜水艦「ノーチラス号」をモチーフに設計された店内は、大理石を基調とした幻想的な空間になっています。
全席個室となっており、それぞれの席を巨大な水槽が囲むように配置されています。約1,500匹もの魚がゆったりと泳ぐ景色を眺めながら食事を楽しめるため、まるで海底を航海しているかのような気分を味わえます。
手がけたのは、インテリアデザイナー世界ランキング7位の松本哲哉氏。店内へ足を踏み入れた瞬間から、日常とは切り離された特別な時間が始まります。
キャビアやフォアグラ、トリュフといった高級食材を使用しながらも、比較的利用しやすい価格帯で楽しめることから、記念日やデートでも人気を集めています。
夜の世界でさまざまな店を訪れてきた鉢嶺にとっても、この空間は新鮮な驚きがありました。
今夜のコースは「格付けチェック」仕立て
この店には、人気テレビ番組の「格付けチェック」をイメージした特別コースがあります。
本物の高級食材と、それによく似た食材が同時に提供され、どちらが本物なのかを当てていく内容です。
挑戦するのは、全7問。

- フォアグラと豚レバームース
- オシェトラキャビアとランプフィッシュ
- アワビとロコ貝
- ずわい蟹とカニカマ
- フォアグラと代替食品
- A4黒毛和牛とカンガルー肉
どれも簡単には見分けがつかない組み合わせばかりです。
そして正解数によって最後のデザートが変化します。
5〜7問正解でアフタヌーンティー。
3〜4問でアップルタルト。
2問以下なら茶菓子。
最後のデザートまで勝負の一部という演出も、このコースの面白さでした。
いざ、判定──舌に自信はあるのか







見た目はほとんど同じ。香りもよく似ています。頼れるのは、一口食べた時の感覚だけでした。
銀座で約20年、多くの高級店を訪れてきた経験がある鉢嶺にとっても、一皿ごとに迷いが生まれます。
最初は自信を持って選んでいたものの、二皿を食べ比べるたびに、「どちらも本物に思えてくる」という感覚に変わっていきました。
フォアグラも、キャビアも、黒毛和牛も。知っている味のはずなのに、並べられると判断が難しくなります。一方で、同席していたホステスも真剣な表情で味を確かめていました。
普段から一流の料理に触れる機会が多い二人だからこそ、互いの予想を確かめ合いながら慎重に答えを選んでいきます。幻想的な水槽を泳ぐ魚たちは、まるで二人の真剣勝負を静かに見守っているようでした。
結果──まさかの全問正解
すべての問題が終わり、いよいよ答え合わせです。
一問目、正解。
二問目、正解。
その後も正解が続きます。そして迎えた最終問題。
結果は――。
鉢嶺、ホステスともに7問全問正解でした。

フォアグラもキャビアも、アワビもカニカマも、そして最後のカンガルー肉まで。最後まで迷いながら選んだ答えは、すべて正解だったのです。
運ばれてきたのは、最高評価のアフタヌーンティー。

美しく盛り付けられたティースタンドを前に、ようやく二人の表情にも笑顔が戻りました。ゴチバトルで味わった悔しさを、別の舞台で静かに晴らした瞬間でした。
食後の七夕──短冊に願いを

この日は七夕でもありました。店を出ると、近くには笹飾りが設置され、多くの短冊が揺れていました。
せっかくなので、二人も願い事を書くことにします。鉢嶺は、少し悩んでから短冊を書き終えました。願い事を書き終えたホステスが、その内容を尋ねます。
鉢嶺は、自分たちを織姫と彦星になぞらえてもっと親密な関係になりたいと言います。
すると、ホステスは少し考えたあと、穏やかに笑って言いました。
「一年に一度しか会えない二人になってしまいますね」
その返事を聞いた瞬間、自分で例えた言葉に自分自身が困ってしまいます。
ロマンチックなつもりで選んだ言葉でしたが、思わぬ形で返されてしまいました。満点を取れた夜の最後は、少しだけ照れくさい七夕の思い出となりました。
まとめ
本物と偽物。並べられるだけで、人の感覚は驚くほど揺らぎます。
それでも最後まで自分の舌を信じ、鉢嶺とホステスは7問すべてを見抜くことができました。ゴチバトルで届かなかった納得のいく結果は、深海を思わせる幻想的な空間で静かに取り戻されます。
そして七夕の夜に書いた短冊も、この日の思い出をより特別なものにしてくれました。味覚を試す勝負でありながら、非日常の空間と季節の行事まで楽しめた一夜。
美味しい料理だけでは終わらない、記憶に残るディナーとなりました。
