プラダを着た“小悪魔”と同伴

プラダを着た“小悪魔”と同伴

『プラダを着た悪魔2』を観に行く。

普通ならチケットを予約して終わるところですが、しかし鉢嶺は違いました。映画館へ向かう前から、すでにこの日の物語を始めていたのです。

『プラダを着た悪魔』をイメージしたオーダースーツを仕立て、ネクタイはもちろんプラダ。さらに銀座のホステスを誘い、映画鑑賞同伴を企画しました。

目次

  1. 映画公開、そして同伴へ
  2. プラダを着た二人
  3. 109シネマズプレミアム新宿で味わう特別な映画体験
  4. 上映前から振り回される
  5. 映画終了後、そしてプラダを着た小悪魔
  6. まとめ

映画公開、そして同伴へ

2026年に公開された『プラダを着た悪魔2』は、前作から20年を経て再びミランダとアンディを描く話題作です。ファッション業界を舞台にした前作は今なお根強い人気を誇っており、続編の公開を待ち望んでいたファンも少なくありませんでした。

鉢嶺もその一人です。続編公開の情報を知ったときから、この作品はただ観るだけでは終わらせたくないと思っていました。せっかくなら映画そのものだけでなく、その日一日を含めて楽しみたい。そんな発想から生まれたのが映画同伴でした。

声を掛けたのは銀座のホステス。映画好きということもあり、誘いはすぐに成立しました。

ところが同伴の日が近づくと、鉢嶺の熱量は少しずつおかしな方向へ向かい始めます。

『プラダを着た悪魔』をイメージしたオーダーメイドスーツを自社のスーツ事業で作成。それに合わせるネクタイもプラダのもの。誰に頼まれたわけでもない徹底ぶりです。

前日にはそのこだわりぶりをホステスへのメッセージで熱弁するも、彼女にはどうやら十分に伝わり切っていない様子。

映画公開を最も楽しみにしていたのは主演俳優でも監督でもなく、おそらく鉢嶺だったのかもしれません。

プラダを着た二人

当日、待ち合わせ場所に現れたホステスを見て、鉢嶺は少し驚きました。彼女はプラダのドレスを着ていたのです。

映画に合わせて装いを揃える。言葉にすると単純ですが、実際にやる人は意外と少ないものです。一方の鉢嶺も宣言通り、プラダのネクタイにオーダースーツという完全装備で登場していました。

映画館へ向かうだけにしては気合いが入り過ぎている。しかし二人並んで歩く姿を見ると、不思議と統一感がありました。

映画を観に行く前から始まっている世界観。この時点で同伴は半分成功していたようにも思えます。

109シネマズプレミアム新宿で味わう特別な映画体験

今回訪れたのは、東急歌舞伎町タワー内にある109シネマズプレミアム新宿です。

一般的な映画館とは異なり、映画鑑賞そのものをラグジュアリーな体験へ昇華させることを目的とした施設として知られています。

館内へ入ると、まず目に入るのが専用ラウンジです。上映開始までソファでゆったり過ごすことができ、ドリンクや軽食も用意されています。慌ただしく入場し、上映が始まるのを待つ一般的な映画館とは空気がまったく違います。

さらにシアター内は全席プレミアムシート仕様。十分な座席間隔が確保されており、長時間の上映でも疲れにくい設計です。さらに音響面では坂本龍一氏監修のシステムが導入されており、映像だけでなく音そのものを楽しむ空間になっています。

映画館というより、高級ホテルのラウンジとプライベートシアターを組み合わせたような空間。作品を楽しむための環境としては申し分ありませんでした。

上映前から振り回される

上映開始までの時間、二人はラウンジで過ごしていました。

ホステスは館内を見回しながら感心した様子を見せます。映画館そのものに興味津々で、空間の写真を撮ったり内装を眺めたりと忙しそうでした。

鉢嶺としては作品の話をしたかったのですが、どうやら彼女の興味はまず映画館の方に向いているようです。

さらに話を聞いていると、時間が空いているせいか前作の内容もかなり曖昧になっていました。

鉢嶺が前日から熱弁していた内容との温度差に、少しだけ肩透かしを食らった気分になります。

それでも上映が始まると状況は変わりました。

スクリーンに引き込まれるように集中し、物語が進むにつれて彼女も完全に作品の世界へ入り込んでいきます。

映画終了後、そしてプラダを着た小悪魔

上映後、二人は余韻を残したまま新宿を後にし、そのままホステスの働く店へ向かいました。映画の感想を語りながらグラスを重ねる。同伴としては理想的な流れです。

ところが、気が付けば空いたグラスが次々と補充されていました。映画の話から始まったはずなのに、いつの間にかテーブルにはシャンパンが並んでいます。

自然な流れに見事な誘導。断る理由が見つからない絶妙な距離感。気付いたときには、自分から追加注文をしていました。

映画館ではプラダのドレスを着たヒロイン。クラブではシャンパンを勧めるプロ。同じ人物なのに、立場が変わるだけでこうも印象が変わるのかと少し感心してしまいます。

帰り際、彼女は笑顔で礼を言いました。

その瞬間、映画館で使ったお金も、シャンパン代も、不思議とどうでもよくなっている自分がいました。

まとめ

『プラダを着た悪魔2』を観るために始まった今回の映画同伴は、作品だけでなく一日そのものを楽しむ時間になりました。

プラダを意識した装い。109シネマズプレミアム新宿という特別な空間。映画の余韻を引き継ぐような夜の時間。すべてが自然につながっていました。

ただ一つ想定外だったのは、映画館を出た後に待っていた存在です。

スクリーンの中にいたのは『プラダを着た悪魔』。

そして現実で出会ったのは――

プラダを着た“小悪魔”。

少なくともこの日の主導権は、最後まで彼女の手の中にありました。

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