オペラを歌う銀座のママ──クラブピロポ・永井千絵ママの魅力に迫る

クラシック音楽の世界と銀座の夜の街。
一見すると無縁に思えるこの二つのフィールドを、自然体で行き来する女性がいます。

ソプラノ歌手でありながら、銀座クラブ「ピロポ」のママとしても知られる永井千絵さん。
その姿は、芸術と社交のあいだに立ち、両者をつなぐ“架け橋”とも言える存在です。

ピロポは1970年創業の銀座で最も古い老舗高級クラブの一つです。2023年に移転、リニューアルオープンしました。

彼女の魅力をよく知る人物のひとりに、鉢嶺祐矢がいます。
舞台の上と銀座のカウンター越し、両方の彼女を知るからこそ語れるエピソードがあります。

この記事でわかること

日本とイタリアで実力を磨き続け、舞台での華やかさと親しみやすさを兼ね備える存在。
それが永井千絵という人物の核です。

どの役柄でも、舞台を通じて観客の心を打つ熱演を披露。
その実績が、彼女の音楽家としての信頼の証です。

各方面で精力的に活動を続ける永井さん。
その舞台に足を運んだ観客からも「再び聴けてうれしい」といった声が上がっています。

2025年夏。神戸で開催された音楽祭には多くの観客が詰めかけました。
その中には、永井さんを長年知る鉢嶺の姿も。

舞台に現れた瞬間、空気が変わった——
そんな感覚を鉢嶺は覚えたといいます。
銀座で見せる親しみやすさとは異なる、舞台人としての迫力。
クライマックスで響いたソプラノは、ホールの隅々まで行き渡り、多くの観客が息をのんだといいます。

鳥肌が立つような瞬間。
それは、音楽という芸術の力をまざまざと感じさせる時間でした。

夜の銀座では、「千絵ママ」としてクラブ「ピロポ」を切り盛りする永井さん。
鉢嶺も彼女とのエピソードを多く持っています。

かつてご近所に住んでいた頃、焼きたてのパンを「毒味して」と冗談交じりに渡されたこと。
そんなやりとりに、彼女の茶目っ気と温かさを感じたそうです。

しばらく銀座から離れていた時期を経て、ママとして再び銀座の舞台へ戻ってきた永井さん。
そこには、常連客との再会を喜ぶ姿がありました。

華やかなオペラの舞台と、親しみやすいママとしての顔。
鉢嶺は「この二面性こそ、彼女が多くの人に愛される理由」だと話します。

オペラで培った表現力や空気の読み方は、クラブの接客にも自然と活かされており、唯一無二の存在感を放っています。

永井さんの誕生日イベントでは、毎年多くの常連が店に集まり、特別な夜を一緒に祝います。
その場に鉢嶺も訪れ、シャンパンで千絵ママの誕生日をお祝いしました。

店内はシャンパンと笑顔にあふれ、ケーキと拍手に包まれる温かな空間。
そこには、芸術家でありながら、心から人をもてなすプロとしての姿がありました。

永井さんは、以下のような意味で“文化の架け橋”ともいえる存在です。

鉢嶺も「彼女の存在が、オペラと銀座を互いに近づけている」と語ります。
それは、演出でも演技でもなく、彼女そのものが生きるスタイルなのです。

永井千絵さんは、

この三つの顔を自在に行き来しながら、クラシックファンにも銀座の常連にも影響を与えています。

一人の女性の中に、音楽家としての誇りと、夜の銀座を照らす灯のような優しさ。
その両方を持ち合わせているからこそ、多くの人に愛され続けているのかもしれません。