
2025年10月14日(火)、夕暮れの川崎競馬場。
この日、第5レース「金沢競馬大雨災害復興支援C2四五六」が行われた。
クラブ粋の代表・山中秋桜(やまなか・コスモス)が所有する愛馬「カサミラ」の出走に合わせ、
鉢嶺は関係者として競馬場の“裏側”に足を踏み入れた。
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普段は観客席から遠く眺めるレースを、
この日は関係者席という特等席から体感する──。
そこで彼が見たのは、数字では語れない「人と馬のリアル」だった。
馬主・山中秋桜と“競馬に生きる15年”

山中秋桜は、競馬業界でも名の知れたベテラン馬主だ。
銀座のクラブ「粋」を率いながら、15年以上にわたり愛馬とともに競馬と向き合ってきた。
その姿勢は、ビジネスと同じく「情熱」と「継続」を軸にしている。
鉢嶺もその生き方に強く共鳴した。
「馬主って、ビジネスでいう“オーナー経営者”そのものですよね。
結果を出すために投資し、人を信じて任せる。
競馬の世界には、経営の原理が詰まっているんです。」
― 鉢嶺
関係者席でしか見えない“競馬の鼓動”
緊張と静寂の入り口






関係者用ゲートを抜けると、そこはまったくの別世界だった。
スタッフたちの動きは正確で無駄がなく、
調教師、厩務員、騎手、馬主――それぞれの役割が完璧に噛み合っていた。
「歓声じゃなくて“呼吸の音”が聞こえる。
この空気感、すごい。みんなが本気で馬と向き合ってる。」
― 鉢嶺
パドックを歩く馬の足音、関係者の真剣なまなざし。
そこには勝負を超えた“覚悟”の空気が流れていた。
カサミラの出走──勝敗を超えた挑戦
この日の主役は、牝3歳の「カサミラ」。
山田質厩舎所属、神尾香澄騎手が手綱を取る。
前走より+9kgの馬体で4枠4番から出走した。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| レース名 | 金沢競馬大雨災害復興支援C2四五六 |
| コース | ダート1,400m |
| 枠/馬番 | 4枠4番 |
| 騎手 | 神尾香澄 |
| 馬体重 | 464kg(+9kg) |
| オッズ | 60.2倍 |
| 結果 | 11着 |
午後5時、ファンファーレが鳴り響く。
カサミラはスタートから中団やや後方につけたが、前との差を詰めきれず11着。
「結果は残念でしたが、どの馬も懸命に走っていた。
オーナーがその努力を見届けて、次に生かす姿勢が印象的でした。」
― 鉢嶺

だが結果だけでなく、挑戦のプロセスそのものに価値がある。
その想いを、鉢嶺はこの瞬間に強く感じ取っていた。
競馬同伴で見えた“人のドラマ”
馬を見る目より、“人を見る目”


関係者席では、レース後も熱い会話が続いていた。
「次の育成」「馬の状態」「戦略の立て直し」――
その言葉の一つひとつに、情熱と責任が滲んでいた。
「馬を見るより、人を見てしまう。
調教師の判断、騎手の姿勢、スタッフの支え方。
それが全部つながって“競馬”になる。」
― 鉢嶺
競馬と経営の共通点
鉢嶺がこの日見たのは、「チームとしての競馬」だった。
そこに彼は、経営にも通じる“原理”を見出す。
| 観点 | 競馬 | 経営 |
|---|---|---|
| 主体 | 馬主・騎手・調教師 | 経営者・社員・パートナー |
| 投資 | 馬の育成・管理 | 人材・設備・技術開発 |
| リスク | 出走・怪我・天候 | 市場・競合・不確実性 |
| 成功条件 | チームの連携と信頼 | 組織の一体感と判断力 |
「経営も競馬も、“信頼のマネジメント”なんですよ。
結果を出すために、信じて任せる勇気が必要です。」
― 鉢嶺
競馬は「数字」ではなく「想い」で走っている
川崎競馬の年間売上はおよそ1,000億円。
1日平均で7,000人以上の観客が訪れるが、
鉢嶺が感じたのは、その数字の裏にある“人の熱量”だった。
「数字は結果であって目的じゃない。
馬も人も、本気で走っている。その姿に心を打たれた。」
― 鉢嶺
レース後、山中秋桜はカサミラの首を優しく撫でながら語った。
「結果は悔しいけど、この子が全力を出せたならそれでいい。
次に向けて、また一歩進めばいい。」
― 山中秋桜
その横で、鉢嶺は静かに頷いていた。
この“競馬同伴”が、彼にとって「勝ち負けを超えた学び」になった。
終わりに──競馬を“感じる”という贅沢

「競馬って、“観る”ものじゃなく、“感じる”ものなんだと思いました。
音、匂い、人の想い、全部が重なってひとつの物語になる。」
― 鉢嶺
競馬を通して鉢嶺が見たのは、
勝敗の向こうにある「人と馬の信頼」。
それは、ビジネスにも通じる“挑戦と絆”の物語だった。
そして夜は、銀座クラブ「粋」へ。
川崎競馬の熱気を胸に、
シャンパンの泡とともに交わされた会話は、レースとは違う“社交の美学”に満ちていた。
「昼は競馬で本気を感じ、夜は人の情を感じた。
これも“粋”な一日でしたね。」
― 鉢嶺
経営者として、そして一人の人間として。
この一日は、鉢嶺にとって“走る意味”を再確認する特別な時間となった。
まとめ──“走る”ことの意味を超えて
競馬は勝敗を競うだけの世界ではない。
馬を信じ、人を信じ、ひとつの目標に向かって走り抜く――
そこには、経営にも人生にも通じる「信頼の力」がある。
鉢嶺が関係者席で見たのは、
数字ではなく“想い”で走る人たちの姿だった。
その熱と情の物語が、彼にとって新たな“走る理由”を教えてくれた。
