
歌舞伎座で味わう“伝統と革新”の粋な夜
文化の日が過ぎ、街が静けさを取り戻した11月4日。
東銀座の灯に導かれるように、歌舞伎座の前に立った。
この日はクラブ粋の奈々未ママのお力添えで、
一等席で歌舞伎を観劇する同伴。
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華やかな夜ではなく、静かに“文化を共有する夜”。
その贅沢を、鉢嶺は噛みしめていた。
「文化を一緒に観られる時間って、ありがたいよね。
静かに“好き”を共有できるのが、一番だな」
幕が上がる
舞台に立つのは、歌舞伎界の屋台骨を支える名優たち。

- 松本白鸚
- 松本幸四郎
- 松本染五郎
- 中村獅童
- 片岡愛之助
- 中村鴈治郎 ほか
受け継がれる名跡。その呼吸。
「代を重ねるって、言葉で言うほど簡単じゃない。
誰かが前を切り拓いて、誰かが継ぐ。
その重さが見える気がする」
文化が、静かに背筋を正してくれる。
伝統の型に宿る、凛とした美
所作、視線、足音。
その一つひとつに、百年以上の記憶が息づく。
観客の息遣いすら、舞台に寄り添う瞬間だった。
鉢嶺は小さく呟く。
「“型”って、守られてこそ美しくなるんだね。
誰かが続けてくれているから、僕らは見られるんだ」
尊敬が言葉を丁寧にする。
それもまた、日本の文化の力だ。
『歌舞伎絶対続魂〜幕を閉めるな〜』

華やかで軽快。
笑いの中に、伝統への深いリスペクトが潜む。
初めての観劇者でも、素直に楽しめる導線。
「誰かの“初めて”に寄り添える作品って優しい。
文化は、招き入れることで広がるんだよね」
歌舞伎が、未来を見ていることを知る。
松竹130年の節目に立ち会う贅沢
特別な空気は、節目の年だからこそ。
| 会場 | 期間 | 特徴 |
|---|---|---|
| 歌舞伎座 | 11/2〜26 | 三谷かぶき×古典の黄金比 |
| 南座 | 12/1〜25 | 襲名披露の格式、その極み |
伝統は止まらない。
冬の京都へ、バトンが渡されていく。
華より、心の角度を正す


休憩中、鉢嶺は静かに気遣う。
「のど乾いてない?無理してない?」
大げさな振る舞いはしない。
ただ、隣の人が舞台と同じように心地よくいられるように。
それは、見えないところの粋。
終幕:余韻を連れて歩く東銀座

夜風が少し冷たい。
それでも、舞台の温度が心の奥に残る。
「幕が下りても終わりじゃない。
余韻があるから、また来たくなる」
多くを語らない。
その沈黙が、余韻を美しくする。
幕が降りても、心は舞台の中に
舞台は終わり、街はいつもの夜へ。
だが、胸の中ではまだ
拍子木が鳴り
光が舞う。
文化は消えない。
静かに根を張り
次の灯りとなる。
また誰かと
隣で美しい時間を観に行けばいい。

